マルテン・ルターはある日、シュタウピッツ博士を訪れた。自分の悩みを聞いてもらうためである。「先生、人間には神さまの前で懺悔(ざんげ)できる罪だけではなく、もっともっと人間の奥深いところに罪があるようにわたしは考えるのです。どんなにこれとあれと罪だと並べても、そこに並べることのできない罪があるのではないですか?。。。」
ルターは、人間の原罪にふれていたのである。原罪とは人間が生まれながらにしてももっている罪のことをいう。よく人は、わたしは生まれてから今にいたるまで罪などおかしたことはないといいます。はたしてそうでしょうか。殺人はしていなくても、泥棒はしていなくても、人間であるがためにの罪というものがあるのではないですか?
ルターは、つづけて話した。「神はわたしにご命令されます。これをせよ、あれをさひないさいと。しかし、わたしにはどうしてもできないことがあります。わたしは神に何度もそむいています。わたしは恐ろしいのです。審判者であり、罪を犯したのにたいして、復讐される神がこわいのです。」
ルターは、つづけて話した。「神はわたしにご命令されます。これをせよ、あれをさひないさいと。しかし、わたしにはどうしてもできないことがあります。わたしは神に何度もそむいています。わたしは恐ろしいのです。審判者であり、罪を犯したのにたいして、復讐される神がこわいのです。」
シュタウピッツ博士は顔をあげてルターを見つめた。「ルター。あなたは大きなまちがいをしている!神があなたを怒っているのではなく、あなたが神たいして怒っているのではないか?」
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